2010/1/13 12:00以降掲載
岩井の本棚

2009ベスト 東の店舗編

今年も「このマンガを読め!(フリースタイル版)」「このマンガがすごい!(宝島版)」、二大コミックベスト本が発売されました。

フリースタイル版は選者の「俺がこの作品を引き上げる」バイアスが年々強くなっているようですし、宝島版は逆に「一般で売れてる作品がランキングに入らないのってなんか変だよね」という方針修正がかかったように感じました。

2年位前は両者のベストは選者もカブってた部分ありますし、ランキングも結構似たようなものに収まっていましたが、今年はフリースタイル版の1位「この世界の片隅に」(こうの史代)と2位「劇画漂流」(辰巳ヨシヒロ)は宝島版のベスト10にも入らず、宝島版の1位「バクマン。」(小畑健/大場つぐみ)と2位「ONEPIECE」はフリースタイル版のベスト10にすら入っていないという結果になりました。

それでいて3位は両者とも「青春少年マガジン」(小林まこと)。
3位以下もけっこう両者でかぶっていること、また集計方法を考えると、今年の真のベストは「青春少年マガジン」と言ってもよいのかもしれません。

つまり両者の1・2位がそれぞれの10位圏外になりまったくかぶらないのは集計方法や選者になんらかの偏りがあることを示していて、宝島版は一般票・また有名人票も含む上で3位に入選されること。

フリースタイル版は評論家とマンガ関係者、書店員を多く含む上で3位に入選されたこと。そして3位に入るということは、より多くの人が読みランクインさせたいという意思があったこと。 実際、それだけの印象を残す作品だと思います。

ちなみにまんだらけの「青春少年マガジン」は去年、08年ベストにいれているスタッフ多く(僕も去年の1位にしました)、そのせいか今年の選に入れたスタッフはほとんど見当たらずでした。
このあたりのタイムラグは「雑誌で読む派」「単行本で読む派」の差だと考えていただければ。

さて第2回は東京以北の店舗(東京と札幌)の店舗によるコミックベストです。

(担当・岩井)

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中野店 マニア館 秋山


ベスト1 双葉社 村上たかし 星守る犬

今年はやっぱりコレ!!
担当、フレンチブルドックを飼ってまして、 (ピン子と言います。) 作中のハッピーと家のピン子がかぶってしまって、家の子がこんな境遇になったら不憫で不憫でと何度も泣いてしまいました。 ということでマニア館らしいピンポイント犬マンガでお願いします。



犬ベスト1
辰巳出版 村田やすゆき 人妻秘めあそび
アナルの帝王も犬描かせたら可愛かった。でも鼻がチンポみたい。



犬ベスト2
日本文芸社 由起賢二 野望の王国
極悪人も犬には弱かった。あんなチャウチャウ見たこと無い。



犬ベスト3
東京漫画出版 望月みさお 学園の白猫少女
おっと!!これはネコだった!?
驚くなかれタイトルは『白猫』なのに、作中この猫のようなものが出てくるのはたったの3コマ!!
さすがトウマン。


ベスト2 関よしみ!!!!!!

嫉妬、妬み、嫉み。オリジナルは安価で見つけたら買っておいた方が良いかもです。

2010年も宜しくお願いします。

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渋谷店 少年 飯田


1位 奥谷通教 「シャトゥーン」

昔から気になってた熊漫画。
全3巻ですが、最終巻が本当に見つからない。 漫画喫茶にも置かれないタイトルなので、読み終えるまでに時間がかかりました。

熊漫画といえば、少年マガジンの「キムンカムイ」が有名ですが、熊の凶悪さ、絶望感、グロさは、こちらが圧倒的です。
特に熊に食べられている人間の視点から描かれている場面は秀逸です。 わざと苦しむような殺し方を行う熊に中の人の存在を疑いたくなります。

グロ耐性が強く、氏賀Y太なんか楽勝という人にもオススメです。
でも、ちょっと気分が悪くなるかも…。


2位 ハッチ 「しょうがくせ」

タイトルが直球な成年コミック。
ストーリー性が強く、成年作家の中でも特異な作風で有名なハッチならではの作品です。

収録タイトルは好みが分かれますが、自分は喧嘩が強くガキ大将な同級生が実は女の子だった、という「転校生は○○だった」を強く推します。

自分が男(本当は女)なのに、男を好きになるジレンマで悩むシーンや、後半、女だと判明してからのデレなど、要素満載でおなかいっぱいです。

こういうタイトルが読めるのも、成年コミックならではの醍醐味ですね。


3位 ZUKI樹 「三間坂杏子の恋愛」

上で紹介したハッチの相方でもあるZUKI樹。 成年コミックは何タイトルか発表していますが、こちらは初の長編漫画(成年マーク無し)となります。

レディースのリーダーとして恐れられていた主人公が、それを隠しつつ、社会に出て、気になる男性を見つけ、変わろうとする努力がいじらしいです。 いわゆるヤンデレ(ヤンキー+デレ)漫画です。

氏の漫画の特徴として、目力が凄いことがあげられます。
個人的な感想になりかねませんが、きっと共感する人も多いはず、この感覚は、読んで見れば分かります。

サブキャラのストーリーなども補足してあり、かゆいところに手が届く点も高評価です。 表紙がそれっぽくないので、レジに持って行きやすいタイトルでもあります。


4位 谷川ニコ 「ちょく!」

いわゆる残念な美人がヒロインの漫画です。
こちらもヤンデレですが、病み+デレの方です。

便所飯が日課の主人公が、男子便所で美女と出会う…説明していて、自分でもよく分かりませんが、本当にそういった内容です。

外見は美人なのに、行動や発言が電波な彼女に振り回される基本的にいい人な主人公の苦労がしのばれます。 読んでいて楽しいけど、リアルで振り回されたら大変なことこのうえないヒロインは漫画ならでは。

読んでいて、昔、見かけたことがあり、以前から気になっていた漫画だったことが判明しました。 偶然に感謝したいです。 まぁ、バレンタインうんこなんて場面がある漫画は、そうそうないですよね。


5位 忍 「ヤンデレ彼女」

タイトルまんまですが、ヤンデレ漫画(ヤンキー+デレ)の口火を切った「オニデレ」と同時期に発表されたにも関わらず、連載までに時間がかかり、似たような印象を受けてしまう不遇のタイトルです。

しかし、破天荒な彼女の活躍する「オニデレ」に対し、こちらは等身大の女の子の葛藤する姿が印象的。 デートの待ち合わせに普段とは違う格好で、照れながら登場するシーンは必見です。

初めて読んだときは、こういうヤンデレが読みたかったとちょっとした感動がありました。 4コマなので、何度も読み返せる点も良いです。

近況
2009を振り返ると、店舗の異動があり、渋谷店に勤務することになりました。 環境が変わり、今まで以上にジャンプコミックスと関わることが多くなり、「めだかボックス」、「バクマン。」、「いぬまるだしっ!」、「黒子のバスケ」など良質な作品をリアルタイムで楽しむことが出来ました。
また、「スラムダンク」を読み返したりと、ジャンプ熱が再燃しそうです。 2010年秋には「バクマン。」のアニメ化を控え、今年もジャンプから目が離せません。

スタンダードな視点を持ちつつ、コアな心意気も忘れないよう精進します。

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中野店 岩井


1位 「好色哀歌元バレーボーイズ」村田ひろゆき

連載始まってからずっと感じていた不穏な空気が今年はクライマックスに。
ボッキしてHして(もしくは強チンされて)虎子で落とす、みたいな永遠のドタバタが「哀歌元」になったとたん人生と生活に直面。

病気、借金、メンヘラ、男色、闇社会・・・3バカトリオに襲いくる現実のあまりに暗さ。 赤木の父さんを取り返すくだりで登場したばくち打ち二人が男色関係にあった、という展開にも驚愕。

そしてこのダーク展開は、10年1月号からしばらく村田ひろゆき先生が病気療養に入り一時休載することと関係あるのか? 読んでて「いま、重要な何かに立ち会ってるんだな」と感じたのは今年、結局本作だけでした。 にもかかわらずこの作品のWikiすらない。いま一番インタビューが読みたい作家といえば村田ひろゆきをおいて他にいません。


1位 「じゃりン子チエ」はるき悦巳

9月から年末にかけて大阪に出張し、大阪の下町を歩き回り猥雑さにドはまり。 2010年「全巻そろえたいマンガ」第1位。こんなにじゃりん子チエが面白いなんて知らなかった。

ブログで取り上げた泣ける4コマ「いってきまーす」も舞台大阪だし、じゃりんこチエの世界観の影響受けてるんだなと遅まきながら気がつく有様。 同じように大阪人に人情家が多いのはたぶん延々と再放送された「じゃりん子チエ」を見て育ったからに違いありません。


2位 「医龍」乃木坂太郎

たとえ新鮮味がなかろうと、今年の医龍の展開は引き込まれた。派閥争い、選挙戦、そして野口教授の手術以降の想像もつかなかった急展開。

9月以降の医龍はありえない面白さだった。けして派手ではないのだけれど、乃木坂太郎は間の持たせ方やコマ割、物語をきちんと絵で見せるのがうまいです。


3位 「まぐろ土佐船」青柳裕介

タコ部屋とならぶ借金返済の手段の一つ「マグロ漁船」。
さまざまな事情を持つ人間と夢を持って船に乗る人間、都会で居場所をなくした人間が船に乗り、マグロを追う。そのマグロ船のコック長の話。

読んでいくと自分の居場所は自分で作り守るしかないという職場における鉄則に改めて気がつかされる。 ちなみに船内でもっともご馳走なのは生野菜、そしてパンだそうです。


3位 「伊藤潤二のねこ日記よん&むー」伊藤潤二

猫の描き方が、猫ベタ惚れじゃなく、猫を突き放して観察したことがある人間にしかできない描写。
猫のかわいくなくなる瞬間・・・たとえば首が縮まるとき、あくびするときの顔のゆがみ、吊り細目でボーッとたたずんでるとき、小便するときなどの描写が秀逸。 猫がペットで愛玩動物であると同時にやっぱりケモノなんだと感じさせるネコマンガです。

あといつも甘えてこない猫が、なぜか全解放で甘えてくる瞬間。猫と飼い主の間に流れる奇妙なムード。 「そう、それはたとえるなら・・・「そういう」ムードだった・・・」はけだし名言。


3位 「喧嘩商売」木多康昭

格闘マンガはその「強い奴を上回るさらに強い奴がまた登場」する展開から、登場人物や筋、トーナメントの組み合わせなど何かのデコボコ・組み合わせがカチリとはまった瞬間に、やたらと面白い一時期が訪れることが多々あるが、今年は喧嘩商売が面白かった。 VS金田保もどう転ぶのか読めなかったし「最強の格闘技は決まっていない」の回(とくにシラット)も最高! 順には影響ないけど同ヤンマガの「センゴク」も上杉謙信のワケわからなさが余すところなく表現されててそれもまた楽しみ。


4位

「以下略」「ドリフターズ」平野耕太
「シスタージェネレーター」沙村広明
「乙嫁語り」森薫
「バカ男子」清野とおる
「思ってたよりフツーですね」榎本俊二
「ピコピコ少年」押切蓮介

09年発売縛りから、この中は順不同。


5位 「現代猟奇伝」シリーズ

聞いたこともない漫画家たちが「この殺人事件を描きてえ」というリビドーだけで書きなぐった挙句、読んでてウンザリとしかしない陰惨な事件簿が完成。 最近コンビニ本で犯罪事件簿マンガ出てますが、あれの元祖です。

絵が稚拙で構成もダメ、なのに、なぜにこんなに惹かれるのか? 元ネタの事件のヒドさを伝えたいというワケのわからない怒りがペン先からあふれてるからです。

実在の事件に対する怒りをなぜかエロアンソロジーで解消しようとした、作家側そして編集側のあきらかな場違いは、しかしなぜか「女子高生コンクリート事件+氏賀Y太」という、考えられる限り最悪の組み合わせ「真・現代猟奇伝」を生むに至る。

ある程度のことは多めに見てくれる、狭められた世界に棲む読者ですらもそこまでは望んでなかった、やりすぎたK点超えの大ジャンプ。「真・現代」はK点どころか観客席にダイブしてる本です。

こういうのを読んでウームといつも思う自分は、結局のところ表現したい欲求が指先の技術力を上回ってエラいことになってる瞬間に立ち会いたいんだなとなかば諦観。


番外 「うばすてやま」「げじげじの死」池川伸治

これもやっぱり伝えたいことが自分の表現能力を超えたところ、ペン先とよりも情念が勝ったマンガ。


番外 「大奥淫花伝」三島一生

将軍を大奥に引きこもらせるために老中が用意したのは二人の毛唐人。 マラが数十センチあり頭、指がすべてチン先状になってる醜い小人とパツキン美女。醜い小人の醜いセックスにトリコになる将軍。

しかしそいつらの主食がウンコだったために「将軍や奥の方をクソ食った口で愛撫するのか!」と城内で毛唐人憎しの声が高まる・・・。 SMエロ劇画誌「漫画ポポ」掲載。


番外 「はんなり」柴門ふみ

出てくる男と女が全員、後先考えてないにも程があるバカばかりで、全員カネ、カネ、カネ!! あとセックス、セックス、セックス!! 誰一人共感できる人間が出てこないのが素晴らしい。

そして出てくる女性の性根のブレ幅のヒドさ、人間としての醜さも素晴らしい。 近年の柴門ふみの「どっかにいってるな、この人」感がよく伝わる作品。これは女性にプレゼントして反応を調べるリトマス試験紙だと思うのです。

近況
07・08年はマンガ家マンガが流行りましたが、09年も手塚治虫のエピソードを吉本浩二が「俺の持ち味は非スマートさにある!」と自己を信じて、あえて中年肉ダルマにしかみえない手塚先生を描いた「ブラックジャック誕生秘話」、逆に叶精一が達者な絵で「いまの状況考えると回顧するのは如何なものか」な小池一夫の劇画人生を振り返った「劇画大噴火」、いずれもド肝を抜かれる出来でした。

ただ例年番外1位としてきた「HUNTER×HUNTER」が年内に連載を再開せず、読むことができなかったゆえにランクインもできなかったのが悔いではあります。

09年は大阪に出張に行き、大阪の猥雑さと懐の深さを満喫。SPA!で連載しているマンガコラムも100回を超え4年目に突入。ご存じないと思うのですが、SPA!でも隔週で連載してますのでぜひ読んでください(だいたいひろゆき氏の連載の2ページ前くらいです)。

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渋谷店 コミック担当 上田 2009年私的ベスト!


『CLANNNAD』みさき樹里/Key

とても丁寧に描かれていて、原作ファンには嬉しい作品でした。 岡崎朋也と古河渚の距離がだんだん埋まっていくのが正直たまらなかったです。


『ひみつの犬神コココちゃん』『下水街』『閉暗所愛好会』等の堀骨砕三作品

この作家さんの魅力は、蟲とう○ちとノスタルジーとでもいいましょうか、あと生えてる娘。 今まで読んだ事のない奇妙な作品達でどれも面白かったです。 そしてこの作家で成年コミックをあさりはじめ、世の中にはいろんな属性があるんだと知りました。う○ちだってへっちゃらです。


『外道の家』田亀源五郎

この作品を読むと手塚治虫の『奇子』を思い出し、『奇子』を読むと『外道の家』を思い出すようになりました。


今年の私的アニソン

『本日、満開ワタシ色! 』
ハヤテのごとく!!ED桂ヒナギクもとい御前の歌声が素晴らしいです。

『セキレイ』セキレイOP
花澤香菜の奇跡でした。ライブVerが最高です。
Bad Brainsを聴いた時並にしびれました。

『Don't say “lazy”』けいおんED
素晴らしきパンクバンド、DESCENDENTSと同じくらい好きです。

自己紹介
少女担当の上田と言います。
今年は森繁久彌さんが亡くなるというニュースがありました。
ナンシー関さんと同じところに行ってしまったんだなと寂しく思います。

渋谷店 コミック担当 北 2009年ベスト!


秘密 清水玲子

傷のついていない脳があれば、死者の記憶を見ることができるという少し進んだ科学”MRI”があり、それを使い殺人事件の捜査に挑む”第九”。

ホラーもあればヒューマンものもあり、7巻は政治が絡んでくるというスケールのでかさ。本の厚みも比例しています。 ”MRI”という設定がもうおもしろいので、それを利用する犯罪や知られざる真実!とかもうどんなふうに調理されてもおもしろい。

そしてまた選ばれるネタがずるいくらいに人間くさい。そんなやつの頭の中なんか面白いに決まってるよ。 楽しみにしている新刊の一つです。


ユーレイ窓 三宅乱丈

いつもはもっと痛いくらいに三宅乱丈なのに、今回の短編集は他人から聞いた怖い話のような客観的にかかれた話が多くて、この人一体いくつ引き出し持ってんだと胸がときめきます。

三宅乱丈のファンタジーもギャグもシリアスも好きですが、ホラーもよいですね! なんで私深夜にこんなの読んでるんだと自問自答させてくれるのはよい漫画です。

あと、読んだ後あんなにポップだと思っていた表紙が急激に怖くなってもう直視できなくなるというオプション付。


M 新井理恵

とうとう完結してしまいました。
7巻は寒空の下、駅のホームで一気読みです。家に帰るまで我慢できませんでした。
中学生のときの愛読書が「タカハシくん優柔不断」だったんですが、変わってないですね。新井理恵は。 私は彼女からこんなに人って醜いんだということを教わりました。

あと、無理矢理書いたようなパンチラから受注生産、とかクライアントの意向、とかも察することができるようになれました。
「M」はもう表紙からしてエロ狙いで (というかスイカで巨乳を隠すなど、スイカップってこんな感じ? みたいなシャレなのかマジなのかわからないエロですが) 、一話、二話もそんな方向性ができてたのが、やっぱり途中からエロなんかそっちのけでスレにスレきった人間模様がぐちゃぐちゃです。
おもしろいですねー。
やはり新井理恵はこうだから好きです。

夜に虚就く ほりほねさいぞう
ほのぼのグロがくせになりました。

自己紹介
渋谷店 少年コミック担当の北です。
今年入社しました。 今年一番気になったことは世情が気にならなくなったことです。 がんばります。

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中野店 男性同人誌担当 工藤 2009年ベスト


その1 講談社 ヤンマガKC 喧嘩商売 木多康昭 1~18 以下続巻

最強の格闘技は何か!?
多種ある格闘技がルール無しで戦った時… スポーツではなく…目突き金的ありの『喧嘩』で戦った時最強の格闘技は何か!? 今現在 最強の格闘技は決まっていない。

上記の「最強の格闘技は何か!?」というテーマと共に始まるこの話。 週刊少年ジャンプで伝説となった「幕張」から始まり、週刊少年マガジンの「泣くようぐいす」 「平成義民伝説 代表人」に続く週刊ヤングマガジン連載の木多康昭先生の「喧嘩商売」ですが、2008年~2009年のエピソードが最高に熱かったので今回のベストに選びました。 (同人スタッフなのにアレですが…)

青年誌に移って木多康昭の本領が発揮されたこの作品。
他の格闘漫画よりグロテスクなシーン (指や腕を折る、鼻や眼球や睾丸を潰すなど) を描いたり、従来以上のパロディネタを入れたりと読者にも担当にも決して媚びない木多作品らしさが伝わります! しかし、作画も大幅に向上し、ストーリーにも深みが増したこの作品。結構泣けるシーンもあり、幕張から読んでいた自分にとっては「一体何があったんだ!?」と思う位すごい作品です。

おおまかなストーリーは東京から宇都宮にやってきた転校生、佐藤十兵衛は昔いじめられっ子だった自分を変える為、喧嘩に明け暮れ、最強の喧嘩テクニックを手に入れた。 自分が喧嘩を始める切っ掛けになったライバルにして天才空手高校生・高野照久との勝負を皮切りに、担任にして女子高生ハンターの異名を持つハレンチ教師・島田 武 (あだ名はし○ぶー又はト○コ) やヤンキーやヤクザ達を相手に喧嘩に明け暮れていた…。

しかし、ヤクザから雇われた最強の喧嘩屋・工藤優作と戦うことになるが、圧倒的な力と不死身のタフさを持つ工藤によって完全に敗北した十兵衛は工藤にリベンジを果たす為、古武術「富田流」を操る師・入江文学の元で修行し、『金剛』『煉獄』『無極』の三つの技を手に入れプロレスラーも圧倒する強さを手に入れる。

そして工藤の場所を探す為の条件として元柔道金メダリストにして総合格闘家・金田保と試合をすることになるのだった…。

というのがおおまかなストーリーで、上記の2008年~2009年にかけての金田編が最高に熱い!

この金田という敵はとんでもない悪党で、常人では考えられない悪行を次々と行う奴です。 (主に給食費を盗んでクラスメイトに罪をなすりつける、担任教師を強姦する、対戦相手に薬を飲ませて失格にする、ヤクザである自分の父親を殺害して樹海に埋める、試合でのドーピングや凶器の使用を平気で行う等様々)

そして十兵衛と同じく工藤と戦う事を目的とする金田は試合前に十兵衛に罠を仕掛けます。

対する十兵衛は今までの木多作品でも珍しい頭脳で戦うタイプの主人公で、偏差値は70を超え、自分でIT会社も立ち上げる程頭が良く、卑怯なまでに知恵が回り、嘘 (ブラフ) や相手の裏をかいた行動や罠を張り巡らせて戦い、金田が仕掛けた罠も余裕でかわす凄い奴な訳です。

そして逆に恥をかかされた金田は十兵衛を抹殺する為、反則を含めてあらゆる手段を使う事を決意! 十兵衛VS金田の決死の戦い「デス・バトル」が遂に開始する!

ところが試合を開始すると十兵衛の卑怯を超えた金田の非道が炸裂! ドーピングによって魔人の力を発揮する金田に十兵衛は必殺技・金剛を見破られ、更に凶器や反則技の連続に絶対絶命のピンチになる! しかし、いままで十兵衛と戦った者達…そして工藤までもが皆思っていた… 「佐藤十兵衛はここからが強い」と…

逆転に次ぐ逆転の先の読めない展開が見所で、特に殴り合いの果ての金剛やドーピングにより魔人の力を手に入れた金田に対して十兵衛の最後の技・煉獄での対抗など最高に熱い戦いは必見です! 金田や工藤以外にも強敵が数多く待ち受け、様々なキャラクターが話を盛り上げます。

熊を素手で殺す空手王・山本陸と数多い武勇伝を持つ喧嘩王・上杉均を筆頭とした最強を名乗る空手集団「進道塾」のメンバーや十兵衛の師・入江文学の父を殺した最強の男・田島彰 (ボクシングのヘビー級チャンピオンを一撃で倒す程強い) との因縁など伏線も見物です!
卑怯という言葉で片付けられない『喧嘩』
勝った者こそが全てにおいて『最強』と認められる…
最強の格闘技を決まっていない…が、その答えはこの漫画にある!

…と格好よく言いましたが18巻のおまけページで作者が不吉な発言を…。 本当に完結できるのか不安です。 (でも今の連載分で20巻は超える)

でも、ヤンマガ本誌での連載もいよいよ大詰め!様々な格闘家達が繰り広げる熱い展開! そして、伏線は回収できるのか!危ないパロディは掲載できるのか! というか本当に完結できるのか!と本編以外にも目が離せない!

ちなみにメインキャラの名前が佐藤、工藤、上杉、山本、田島など何故か当店のスタッフと被っているのは気のせいでしょうか!? (サブキャラや芸能人パロキャラを入れるともっと多いか?)
そんな事を気にしつつも今後も楽しみで仕方がない作品です。 あと、某リーダー的先生のグルメバトル漫画と一緒に読めば更に面白さがアップすると思います。 (笑)


その2 角川書店 角川コミックス・エース にょろ~ん☆ちゅるやさん 全1巻 原作:谷川流 漫画:えれっと

「にょろ~ん☆ちゅるやさん」
やはりコレは外せない!同人誌から始まりいつのまにか公式キャラにまでなったちゅるやさんの活躍が詰まったこの一冊。 (限定版はねんどろいどぷちまで付属される凝り具合!)

涼宮ハルヒシリーズに登場する人物・鶴屋さんをちっちゃくしたキャラクター・ちゅるやさん。 好物のスモークチーズを食べることができなくて、いつも「にょろ~ん」となるまでを描いた4コマですが、そのユルさがナントもイイ!

アニメも放映され一躍知名度を上げた2009年ですが、同時に放映した「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」より少し扱いが小さい気が…主題歌もハルヒちゃん達が担当し、放送話数等もハルヒちゃんが多い…。 本編と同じくらいぞんざいな気がしました…。 (でもちゅるやさんのイメージソングはちゃんと発売された)

更に今年放送したハルヒ本編のアニメが殆ど再放送の上、一部の新作アニメでも同じ内容を8回もやるという超展開!でも、怒りと諦めを感じてもちゅるやさんを見てると癒される自分が不思議です。

ちなみにコミックスと公式ムックでは原作者の谷川流氏からちゅるやさんを絶賛する声が! 同人から始まったのに作者公式になるとはやはりスゴイ!と感じました。

あと、ちゅるやさんと人気を二分するキャラクター・あしゃくらさんからも目が離せない! ちゅるやん同様、涼宮ハルヒシリーズに登場する朝倉涼子をちっちゃくしたキャラクターでちゅるやさん以上にぞんざいな扱いを受けることもあるあしゃくらさんですが、応援したくなる のが不思議。次はあしゃくらさんをコミック化して欲しいです。

悲しいとき、疲れたとき、落ち込んだとき等にこの本を読めばきっと癒されると思います。

近況
2009年はいろいろありました。
政権交代やら海外で日本のアニメやゲームが問題になったりやら、失業者数が数百万人を超えたり、隣の国がミサイルを用意したり、インフルエンザで大変だというのに国会でバカなことをやる議員がいたりとか、日本一の某少年誌の漫画家がトラブルによってかどうかわかりませんが連載が急に終了したりとか色々大変な2009年でしたが、これからも頑張ります。

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中野店 本店/記憶×大予言 久保田 (大体、買取か、4階のお店にいます)


自殺島 (森恒二・白泉社)

自殺した人が国の政策かなんかで無人島に流されてサバイバル生活を強いられるという話。 サヴァイブ感がゼロ年代の想像力の代名詞ならばこれもその系譜に収まります。

でも生きる意味を真正面から問うような文学的な雰囲気はちょっと時代錯誤な感じがします。 子供も携帯を使いこなすようなご姿勢に、自分で作った弓もって鹿を追っかけまわすという、そのアナクロ感が好きです。


アイアムアヒーロー (花沢健吾・小学館)

期待を裏切らない怒涛の展開。
これは映画化かドラマ化になるんじゃないですか。良いです。


いぬまるだしっ! (大石浩二・集英社)

期待しないで読んだら、すごい面白くてびっくりした。
特に読者投稿のキャラを載せた回は天才的な面白さ。好きです。


バクマン。 (小畑健、大場めぐみ・集英社)

ゼロ年代の本格的幕開けは「デスノート」だとすると10年代は「バクマン。」で決まりなのでしょうか。 フィクションとはいえ少年ジャンプの内部、システムを徹底的に描いたことだけでも、画期的。

今後の読者 (漫画家もか、それに編集者もだ) のジャンプの参加の仕方を決定的に変えてしまったことはでかいです。あと登場人物がかわいい。

ひとこと
あとは伊藤潤二の「よん&むー」良かった。
「鉄人28号」読み途中。石原まこちん「GENGO」面白い!2010年はクラシックなものをもう少し読みたいです。
私の2009年
結婚しました!

中野店 コミック担当 小泉


1位 好色哀歌 元バレーボーイズ (村田ひろゆき)

50巻にも及ぶバレーボーイズの後、元バレーボーイズは凄い事になってる。 「読んで!みんな読んで!」と言いたい漫画ベスト1でもあります。 雑誌ヤンマガでは、赤木のオヤジが実家跡に帰ってくるところで作者休養・・・
毎回、読むたびに何か起こりすぎて緊張するのはこの漫画だけ。


2位 「まだ、生きてる…」2巻 (本宮ひろ志)

1巻の主人公が親父、そして2巻はその息子と続くサーガ。
あまり出てこないお母さんは一見して冷徹ですが、熟年離婚の女性の心理を端的に切り取っていてそれはそれで中々怖い現実でもあります。

不況、派遣切りといった社会問題を本宮風に解釈した作品…であると私は信じてます。 親子揃ってムチャクチャやります。親父はイノシシと闘います。見知らぬ女性と子供を作ります。息子はその女性と子供とサバイバルをしながら暮らします。
ドラマ化&映画化希望。


3位 「東京都北区赤羽」 (清野とおる)

著者が赤羽で出会った人、虫、さまざま奇跡を紹介する漫画…と受け取ることにしています。 ちなみに私は今年7月某日、知人の結婚式の為に原宿 (代々木公園) に行った際、偶然にもペイティさんと握手をさせて頂いています。
1月には3巻出ます。


4位 「美女アマンダ」 (三家本礼)

登場人物は全て肉片になる為に有ると言っても過言ではない…
そんな漫画ばかり描いている先生…恐ろしや恐ろしや。そして愉快愉快。

特に、ノートに書いた美女キャラがイジメっ子に復讐する「画女」と近年深刻になりつつある給食費の未納に対する怒りをぶちまけた「給食の飯田さん」は漢字が読めるようになった子供に真っ先に読んで欲しい話です。
あと、3等身キャラと5等身キャラ (ブッ殺され専門) の陳腐さが大大大好きです。


5位 「ファイトじじいクラブ」 (山本健太郎)

家庭崩壊とイジメに立ち向かう少年のお話。
夢の中で、亡くなった父方と母方の「じじい」達が少年に「男」を教えるために「ワンピース」のエルバフの巨人 (ブロギーとドリー) ばりの闘いを繰り広げる…。

ぼんやりした少年が悟りを開いたかのように成長する姿が清々しい。 単行本には他短編も。「シショーカムバック」もオススメ。 読後はスカッとサワヤカでいっぱいです。
新人が多く出た年でもありますが、私的トップです。


6位 変身 (桜壱バーゲン)

一番やっちゃいけない組み合わせ (褒め言葉) 。
イーストプレスから出ている「まんがで読破」シリーズを集めている人は棚に追加してください。今すぐ!!


○番外編○

「羣青」&「ちんまん」 (中村珍)
何やかんやありますが、私は中村珍を応援しています。という事で1票。

「フランケンふらん」 (木々津克久)
この作品のおかげで、人生初のドラマCDを手に入れました。

渋谷店 コミック/記憶・大予言 担当 清水


『オールラウンダー廻』遠藤浩輝

これまで実に多くの格闘技マンガがありましたが、「イブニング」誌で始まったこのマンガを読んだ時はかつてないほどビックリと感動がありました。

なんと、修斗が題材!しかもアマチュア!!こんなの作品として成立するの?とも思いました。 しかし寝技の技術などが教則本のように図解されていたり実際のジムが出てきたりと内容もこだわって描かれている意欲作。

今年は修斗プロ化20周年。しかし世間的な修斗の知名度はまだまだ。 10月のバリジャパでかつての絶対王者・小ノゲイラを倒したリオン武の目標は「ジャンクスポーツ」出演との事ですが、来年は是非実現して“メグル”共々修斗を広めていって欲しい!


『白竜-LEGEND-』天王寺大・作/渡辺みちお・画

ヤクザものは基本的にマンガとしては興味の範囲外なのですが、白竜は違う! インテリという訳ではないけどスマートでクレバー。
しかしやるときゃ容赦などしない、男の中の男。


『センセイの鞄』川上弘美・作/谷口ジロー・画

あぁ、楽しみだったのに終わっちゃった。
原作小説も映画も観ていないのでこのマンガで初めてこの作品に触れたのですが、すっごく良かった。でも何が良かったのか考えてみたら、実はぼんやりしていることに気が付いた。

普通、こういう場合、読んでいる自分も主人公のツキコさんの事が好きになっちゃってそれが作品を読むモチベーションになったりするケースが多いのに、ツキコさんはそんなにいい女だと思わないし、恋しなかった。 きっと年のいった二人のウブな関係と、“行きつけの居酒屋”というのがよかったのかなー。

同じアクションで連載してる八月薫や国友やすゆきの作品とは余りにも対極にあるオトナ像。


『総理の椅子』国友やすゆき

で、国友やすゆき。
「アクション」誌の「新・幸せの時間」も相変わらず最高なのですが、こちらのクレージーっぷりは改めてギャフン!と言わされた。 野望、欲望、謀略・・・人間の私利私欲をハイテンションに描く、国友ワールド恐るべし!


『いったり・きたり』鈴屋あやめ

「モーニング・ツー」誌では一番最初に読みます。はっきり言って絵は発展途上としか思えないのですが決して“ヘタ”ではないと思う。 あくまで途上、ということで。その中でも目を引く作者独特の表現が好きです。

毎回山手線の駅をモチーフに描かれる恋愛百景。登場人物たちのなんと愛らしいことか。 もっともっと他の作品も読んでみたい。山手線一周したら原秀則みたいに「○○線編」みたく他の路線行ってもいいから。


『なにわ友あれ』南勝久

前作「ナニワトモアレ」からずっと読んでいますが、今の方が楽しみ。 ヤクザ、ヤンキー、走り屋、ネオン街、喧嘩、殺人、格闘技と物騒なマンガの博覧会 (ホント多いな!) であるヤンマガにおいてこの“硬派”と“ユーモア”の絶妙なバランス感は大阪人のなせる業なのでしょうか。ここでは生きた関西弁とその会話術が楽しめます。だから好き。


『はんなり!』柴門ふみ

主人公は京都で小さな骨董品屋を営む中年男性、歳多修治。
骨董品に関しては天才的な目利きなのだがそれ以外のことはさっぱりダメ。面倒な事はしっかり者の弟まかせ。 しかし彼に関わった周囲の女性は知らず知らずのうちに修治に引き込まれていく。

最近リアルな感じのダメ男マンガが人気ですが、その多くは男性作家によるもので、自信をすっかり失った現代の草食系フニャチン男子の自虐的な、傷を舐めあいましょう的な共感の要求が見えてくることもしばしばですが、大御所・フーミン女史によるこの修治は“たとえダメ男だろうがこんな男なら女は惚れるぞ!!”というメッセージの表れのような気がしてならない。

渋谷店で少年コミックを担当しております清水です。
今年から“記憶コーナー”にも参加しています。
今年一年の回顧とか挨拶的な文章は「記憶ベスト」に書いたのでここでは省略しますのであしからず。ってか、どんなマンガがあったっけ?思い出すのにも一苦労する自分の脳に年齢を感じます。

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渋谷店 せんば (担当 ちっちゃいオモチャとかエッチな同人誌とか) 2009年・雑誌の発売日が待ち遠しいマンガベスト


アイアムアヒーロー/花沢健吾

まず何と言っても気味が悪いです。
てっこに謝りに行った回の見開きは軽くトラウマに。
でも、待ちわびちゃうんですよね~。困ったコトに。


ヘルプマン/くさか里樹

年老いた親と同居する身としては、身につまされるオハナシです。
あぁ。こーゆー人にオマカセすればイイんだぁ。


月光条例/藤田和日郎

藤田和日郎スキだなぁ・・・って。しみじみ思う。
トショイインが好き。


宇宙兄弟/小山宙哉

月に憧れはありませんが、あーゆー兄には憧れます。
あと、髪型が友達に似てます。関係ないケド。


ポテン生活/木下晋也

さりげなくかかさず読みます。
今年唯一、発売日に買いに行った本。
つか、コミック持ってるのこの中じゃコレだけだ。スゴク好きらしいネ。
あ。でも待ちわびてるワケじゃぁなかったカモ・・・

2009年ワタシの身に降りかかった恐るべきジケン!
ギックリ風な腰に!!
数日でほぼ平常になりましたが、何年かぶりに一週間以上もの間、酒を抜くコトに。5年トカ振り。
生きる上で大切な、欠かせないモノベスト3に入るってぇのに。命の水。アクア・ウイタエ。
そんなワタシの沈む気持ちと痛むカラダを癒してくれたステキソングベストもついでに。 ステキソング=マクロスFrontier=ステキソング。意固地。

◎Welcome To My Fanclub's Night! (Sheryl On Stage)
わーい。シェリルLIVEだぁ!とドキドキできるスゲェヤツ。
少なくともわたしは。ココから繋がる『What'bout my star?』もイイんですが入れない。

◎妖精
カラオケで唄うコトが出来ないニクイヤツ。特に英語のトコね。
シェリルの良さが深まるのデス。

◎アナタノオト
ランカだって好きなんですヨ?ってコトをアピール。
一番ランカらしい曲!と言い張ってみたり。

◎トライアングラー
忘れちゃイケナイよ!コレ!
真綾がビョーーーン!って出てきたあの日を忘れない。

順位は付けれても付けないのが流儀。平たく言うと全部好き。

コンプレックス 竹下


1位 幸村誠『ヴィンランド・サガ』

文句なしの1位でしょう。
第一部完までの全ての流れは今年の漫画では最高峰でした。 繊細な筆致、濃厚なストーリー、魅力的なキャラクター。読んでてうなりっぱなしです。

何か毎年いろんな媒体で1~3位の間に上げているような気もしますが・・・・・致し方ないです。別格におもしろいんだから。 ただ8巻読む前に絶対帯を見ないこと。『キングダム』の表紙もそうですが豪快なネタバレ要注意です。


2位 新井英樹『SCATTER-あなたがここにいてほしい-』

なんじゃこりゃ。
そのわけ分かんなさに唖然としました。
3話目くらいから少しずつ見えてきたような気もするんですが、いずれにしても最も今先が読めない漫画です。

最初僕はこの漫画のことを”コズミック・レイプハンター”と呼んでいました。あとから考えたら全くの見当違いでしたが。

勢いではこれ以上はないトップスピード。1話目なんて読んでるだけで「ほぼイキかけます」。 さらに先行きは完全に予測不能と漫画読みにとってこれほど楽しみな漫画はありません。 単行本なんて待たずに月刊誌で毎月洗礼を浴びて、のけ反って読むことをオススメします。


3位以下順不同、気分次第その日次第・・・

・谷川史子『清々と』

屈折した時期に読んだこともあり、谷川史子先生の爽やかさ、シンプルさに打たれました。 この透明感っていうか、読んだ後前向きになれる感じはデビューした時からずっと変わらないですよね。

変わらないことの素晴らしさ。掲載誌がアワーズで2008年の年末くらいから不定期連載、遭遇率の低い漫画で単行本は2010年だろうな~と思っていましたが、12月28日発売と年末のささやかなプレゼントとなりました。

・松本正彦『たばこ屋の娘』

何度もコメント書いてきたのと、名だたる面々がすでに語りつくしているのでコメントはザックリと割愛しますが、この漫画が歴史に埋もれなかったことに感謝するとともに、漫画史的な位置づけとか意義がどうのこうのじゃなくて、単純に面白い。

淡々とした日常を描いているだけの漫画がここまで面白いということに漫画読みならずとも触れてもらいたい。復刻漫画部門では2009年ダントツの1位です。

・田中雄一『害虫駆除局』『プリマーテス』

今年の新人では際立ち度No.1!
方や虫、方や猿、このアウトサイダーたちの気持ち悪さが最高過ぎる。

どちらも読切なれど進化した異生物との終わり無き戦いはどうしようもない絶望感とやるせなさに読後はしばしの放心状態でした。
ちなみに2009年春四季賞受賞作が『害虫駆除局』、アフタヌーン2009年11月号に掲載された読切が『プリマーテス』になります。

・原泰久『キングダム』

毎週毎週楽しみ過ぎて待ちきれなかったのは『キングダム』『ONE PIECE』が別格でした。 王騎に憧れて「コココココッ」と今年はよく笑ったものです。

強化買取のコメント欄にも書きましたが、月刊ヤングジャンプとかで『キングダム -王騎ヤング編-』とかやらないですかね。めちゃくちゃ読みたいですが。

余談ですが、今年からまんだらけのコスプレデーは手塚治虫先生の命日から年末年始へと移動しました。
そのコスプレデーで”山の民”のコスプレをしたかったのですが・・・・・断念しましたッ。無念です。 買取処の先頭に立ち、腕を組んで仁王立ちしてバジオウのごとく・・・・・冷静に考えたら喋れないし買取できないですね。

・古谷実『ヒメアノ~ル』

ここ最近の永久ループに入り込んだかのようなデジャヴ感の強すぎる古谷作品に嫌気がさしたという人の話を頻繁に聞きます。 主人公が非モテでかわいい女の子が登場して偶然両思いに。主人公の身近にはトンデモな変人がいて、幸福と不幸がゆりかごが揺れるかのごとく交互に訪れる。

アオイ青春してたかと思うと突然忍び寄る死の臭い・・・・。『シガテラ』『わにとがげぎす』とあまりに酷似した展開。 いいんです同じでも。あえて言えばあのデジャヴ感含めて最高です。古谷先生クラスの人がいまだにこの粘着質な非モテ視点の作品を描き続けているというだけでリスペクトに値します。

『ヒメアノ~ル』もいつもの尺でいうとそろそろ終わりだと思うのですが、古谷先生のいないヤンマガはパワー半減するので新境地にいかずにデジャブ感強いのをまたすぐ描いて、コメントの「特になし」を見たいものです。

・松井優征『魔人探偵脳噛ネウロ』

ここ最近のジャンプでここまで終わらせ方が見事だった漫画ってないですよね。 終盤にいくにつれての盛り上がりに伏線の回収、おもしろさが加速していくのでグワ~ッと読みました。
何よりも主人公がきっちり成長していくところ。少年漫画としては異質でしたが、きっちり少年漫画してました。そこが良かった。

・上野顕太郎『さよならもいわずに』

作者の前妻の死を描いた実録漫画。
その本気さが読んでても伝わってくるのでうかつに読めない。空気が凍りつくというか。世界が止まるというか。 その気持ちがよく伝わってきます。漫画家漫画がさらなる流行を帯びた2009年ですが、これ以上の実録ってテーマとしては絶対ないです。

・うさくん『マコちゃん絵日記』
あのTシャツ最高です。特に「今月の目標 巨乳」Tシャツが好きですね。


番外

・渡辺保裕『ドカコック』
・由起二賢『野獣の王国』
今年終盤に来ての2大ビッグニュースはこの2つ。

由起先生、奇跡のゴラクに降臨と『ドカコック』が月刊ヤングキングにて連載再開! うれしいかぎりでございますよ。ただ若干の懸念は『野獣の王国』超不定期連載・・・・・というかあれはほんとに連載なのかと心配になったころに2話目が掲載。 いったいこのあともどんな連載をたどるのでしょうか。

そして月刊ヤングキングと微妙に自分にとってはハードルが高い雑誌での連載再開。ゴラクではダメなのか・・・。いずれにしてもついていきますとも。

2009年ニュース
チョコレートファイター、チョコレートファイター、チョコレートファイターですよ。
エヴァもすごかったけどやっぱ”ジージャー”!冒頭、阿部寛のゆるいドラマのあたりは退屈度は頂点だったものの、ジージャーのアクション入ったらそのキレのハンパなさに驚いた。
あのアイドルみたいな顔で蹴る!蹴る!!蹴る!!!阿部寛も『拳鬼』(昔そんな空手映画があったんです・・・)の血が目覚めるかと思ったけど眠ったまんまでした。 ま~アクション映画のストーリーなんてあってないようなもんだし、復讐劇だし。ただ2Fや3Fからバンバン人が落ちてくところは痛いとかの話ではないような。
ジャッキーの『ポリス・ストーリー』を観たとき、この映画絶対何人か死んでるなと思いましたが、それに近いものを感じました。
近況
日々増してくるメタボリックという悪魔の囁き。
目標の”長老”体型を目指すと書いた2008年ベストの記入を終えた3秒後にはそんな意気込みも露と消えたところからのスタートラインとなった2009年。 自分に都合の悪いことはすぐ忘れ、なおかつこだわりや趣向は強まり持ち前の頑固さは強固さを増した年でした。
そんな自分竹下の出没箇所はコンプレックス1F、3F。
秋葉原界隈のおいしい店情報があれば漫画売るついでにでも声かけてもらえると喜ぶグルマンくんです。 新しいラーメン屋がポコポコできましたが、何気に一番出来て欲しい店は「はなまるうどん」だったりします。

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中野店 少年コミック 大予言 担当 二宮


(1)グレゴリ青山「田舎暮らしはじめました」

虫の襲来に心休まる暇もなく、交通の尋常でない不便さに疲れ果て、猫の放し飼いもできない田舎の環境汚染に激怒する著者の体験談を綴った笑いあり涙ありの極上コミックエッセイ。 様々な理由から田舎暮らしを考えている都会っ子全員に目を通してみてほしい一冊です。

(2)東村アキコ「海月姫」 (美しい)
(3)高野文子「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」 (待望)
(4)せきやてつじ「バンビ~ノ!SECONDO」 (勇気)
(5)マキヒロチの作品 (薄くていいから単行本出して欲しい)

札幌店 男性同人 プロレスコーナー担当 橋本 【私の2009年読んだコミックベスト3】


第一位 神尾葉子「まつりスペシャル」

みんな大好き!「花より男子」の神尾葉子先生によるこの作品。
もうこれもドラマ化なり月9にしたりすればいいじゃない! と、思いつつも実際は先生の黒歴史にされないか心配になる作品でございます。

とにかく随所にあふれた少女漫画テイストは甘酸っぱくてたまらない! もうこの作品の登場人物になりたくてたまらん漫画です。 まつりちゃん!僕にもまつりスペシャルかけてー!

で、この作品の良いところはその甘酸っぱさだけではなく、基本的に登場人物たちが
「プロレスって野蛮なものと思って興味なかったけど実際に見るとこんなに面白いものなんだ・・・」
と、口を揃えて言ってくれる事です!

そうだ、そうだよ!みんなこの漫画の登場人物を見習ってプロレス見ようぜ! 見れば「アメトーーク」の「プロレス芸人」の回も100倍楽しめるって! あとはNOAHオタの神尾先生が三沢の死をトラウマにしない事を祈りつつ・・・


第二位 ヒラマツ・ミノル「毎月父さん」

男なら誰しも「人類世界最強の男」、「60億分の1の男」、「類人猿ヒト科最強」的なモンに憧れますよね。 そんな人類最強の格闘家、鈴木・グレーテスト・総四郎が繰り広げるホームコメディがこちらの漫画「毎月父さん」。

まぁ、ホームコメディにしては絵がドギツイですがヒラマツ先生の味って事で。 特に後半に進むにしたがってキャラクターのディフォルメぶりがひどいですがこれもご愛嬌。

そして、ひどいといえばこの漫画セミレギュラーキャラとして、どうみても高田延彦なキャラがいるんですが扱いの酷さが半端ないのも特徴でございます。 主人公の総四郎に馬鹿にされ、部下の選手達に馬鹿にされ、子供にも馬鹿にされる始末。 毎回登場してる辺り作者の愛情の裏返しかと思って読んでましたが、どう考えても心底高田が嫌いにしか思えないのがスゴイです。

総四郎へ一方的に親友呼ばわりしながらも色々と手助けしたり、なんだりかんだりしてくれる高田 (似) に対してガン無視、暴行当たり前の扱いで、それでも少年漫画だったりすると高田 (似) がピンチの時はなんやかんやで助けてくれて、皮一枚の友情で結ばれたりしてたりするってもんですが、全くないです。 とにかく救われないの一言。
ノブ兄さんファンにはきっつい漫画になりそうですが、まぁ高田だから良いか~ (結局それかい) 。


第三位 本田真吾「脳内格闘アキバシュート」

格闘技好きって人いますよねー。
そして格闘技好きといっても実際にやるのが好きって人と見るのが好きって人に分かれると思うのですよ。 そんでもってこの2種の格闘技好きな人が会話なんてしようものなら盛り上がる事間違いなし! ・・・・と、思いがちですがそうでもないんですよねぇ (しみじみ) 。

やはりやってる人からすると格闘技経験もないのに、したり顔で話すんじゃねー的な感情になり、見る専からするとどうせヒョードルと戦ったらボコボコにされるくせに (当たり前だろ!) 偉そうに技術論語るんじゃねー的な感情になり会話が弾まないんですよ、たぶん。

その点プロレスファンはみる人、やる人どちらも盛り上がるからいいですよね。 まぁ、プロレスファン人口自体がほとんどいないんですが・・・

そんな漫画がこの「アキバシュート」。
とにかく主人公が屈折しててムカつく事間違いなし。
格オタはロクなやつがいないよねぇー。

注・・・ここで述べた格闘ファン2種論は偏見と妄想にみちたもので実際は格闘ファンはみんな仲良しですのでご注意下さい。このあとスタッフがおいしく頂きました。

2009年で気になった出来事
うーん、三沢でしょうねぇ・・・
未だに信じられません。悲しみに負けない強い子になります。

あと私が「これは面白い!全巻買うぞぞー!」と息巻く漫画はたいがい3、4巻で終わりがっかりするみたいな事が多い年でした (ベスト3の漫画参照) 。 2010年は好きな漫画には過度な期待を持たないようにします。がっかり。

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渋谷店 コミック担当 南


1位 「モテキ」久保ミツロウ

タイトルでちょっと敬遠していたのですが、いつかちゃんの希望がない処女喪失シーンで一気に好きになりました。
少年誌の漫画家先生は、何か余分なところは削って削って、純粋な純漫画を提供しているような気がするのですが、少年誌の方は本気出せばこれくらいいつでも作れるのでしょうか。
あと主人公が岡村ちゃんの「どうなっちゃってるんだろう」歌ってるのが良かったです。


2位 「闇金ウシジマくん」真鍋昌平

暗い話の羅列がますます冴えてます。
過去のシリーズのキャラが出てくるのも火の鳥みたいでいいなあ。
ハロルド作石先生の新連載が載った号で巻末の真鍋先生の言葉が「メリークリスマス」だったのには脱力させられました。


3位「PRETTY COOL」戦国くん

とある事情で、大好きな彼氏にだけ、自分の姿が丸裸に見える女子高生の話です。 全体のノリが海外ドラマみたいな日本人離れした明るさがあるような気がする。 不思議なテイストでありました。


4位「女ヒエラルキー底辺少女」鈴木詩子

古泉智浩、福満しげゆき、藤枝奈巳絵、各先生方の系譜。 アックスの芸術、アート系とは違ったストーリーがある漫画家さんです。 ワイドショーとかをネタにしたものが多いような。
あと日常の些細な出来事での周りの人の悪意のない行為だけど自分としては嫌だったことが面白く描かれています。


5位「しょがくせ」ハッチ

暗く重たい近親相姦ものを多く描く成年漫画家ハッチ先生の新刊です。 雑誌アウンで連載の作品も、いつもの感じで、どの話も打点が高い。暗さにおいて。


6位「タバコ屋の娘」松本正彦

劇画漂流を読んだ方には“まっちゃん”こと松本正彦先生は、 すでに他人とは思えなくなっているはず。 うらぶれた雰囲気のあるアパートが舞台の短編集。


7位「おねだりエプロン」草津てるにょ

メガストアで連載されていた「おねだりエプロン」兄嫁との、めくるめくイヤらしい行為の日々。
旦那の弟が両腕骨折。旦那がいない昼間、その嫁が両腕のかわりをしてあげる、とかで風呂入らしてたりしたら、そのままいけない関係に!ああ…何てこと。
バレたら大変だけど今は欲望のまま、というシチュエーションが良かったです。


8位「星守る犬」村上たかし

親にも薦めることができそうな、一家に一冊、という感じの漫画。
続編あっての一つの作品、ちょっと救われました。
犬に、なつかれるには散歩は大事。


9位「だってラブなの!」雨部ヨシキ

男子の即物的な欲求に女子もまんざらではない、というのを論理的に説明。目からウロコです。 あと、エロに無関心な、いわゆる草食系男子が、最中にオスに豹変。 女子が「見直しちゃった」という展開の話もあります。 エロ漫画なのにストーリーがある、そんな漫画です。


10位「新婚姉妹」 和六里ハル

新婚姉妹、夫は一人です。
(突然ですが) 「ボーダー」で蜂須賀が双子の美人姉妹の2人ともを好きになって、無人島で3人で暮らすことを夢想するのですが、
そんな蜂須賀の妄想を、思想的な感じは違えども、実現させたのが本作。

近況
エロ漫画雑誌をよく読んだ一年となりました。
ヴィンテージスタッフから、男性器がピストルになっている殺し屋の漫画を探求受けたのですけど分かりませんでした。 あと、巨乳でない淫乱、痴女が登場するエロ漫画のことも聞かれたのですが、答えられませんでした。これだ!と思った方は連絡待ってます。